世界を旅し、美しい風景や歴史・文化を紹介するトラベルカルチャー誌TRANSIT。よりよい未来を拓くために、心身にも環境にもやさしいIntoの製品とともに各地を旅し、伝統的なものから新しい潮流まで、気になるライフスタイルを追いかけます。第7回は、豊かな水と太陽の恵みにあふれたベトナム南部・メコンデルタ地方へ。

バスに揺られてメコンデルタへ
旅の始まりは、ホーチミン市の長距離バスターミナル。各地へ向かう大型バスが分刻みで発車してゆく。広大なターミナルをさまよい、何とか目的地ロンスエン行きのバスを見つけて乗り込んだ。快適なリクライニングシートに身を沈めて、都市から田園風景へと変わりゆく景色を眺める。メコンデルタでどんな出会いが待っているか、わくわくしてきた。

川沿いの街ロンスエンで
5時間ほどのバス旅で、メコン川の支流・ハウ川沿いの小都市ロンスエンに着いた。翌朝、日の出とともに水上マーケットへ。果物や食料品を積んだ船が行き交う。地元の人の話では最近は船同士の取引がずいぶん減ったらしく、ごく小規模だったけれど、水辺で暮らす人びとの昔ながらの生活を垣間見ることができた。

花いっぱいのロンスエンの小路を歩く
道端でおばあちゃんが売っていたおいしいバインミーを朝ごはんに食べたら、ロンスエン市街を散策。大通りから少し入った小路には、軒先やベランダを色鮮やかに咲く花々で飾った家が多く、目を楽しませてくれる。そこら中に雑然と張りめぐらされた電線との対比が、ちょっぴりカオスでベトナムらしいな。

田んぼとバイクのある風景
この旅の目的のひとつが、ベトナム有数の穀倉地帯であるメコンデルタで米づくりの風景を見ること。1年を通してあたたかいので、1月末でも青々とした稲が育っていた。ロンスエン郊外の田んぼにいた人たちに手招きされ、稲の間引き作業を近くで見せてもらうことに。靴とズボンが泥だらけになったけれど、農家の人と交流できて嬉しかった。そして彼らの通勤手段は、やっぱりバイクのようだ。

水田地帯を見下ろす高台へ
眺めがよさそうな小さな山があったので、車で登ってみることにした。曲がりくねった狭い道でヒヤヒヤしていたら、運転手さんが翻訳アプリの画面を見せてきた。「心配しないで。すべてうまくいきます」。心強い。たどり着いたお寺は見晴らし抜群で、どこまでも田んぼと水路が広がっていた。何となく、夏休みに田舎へ帰ってきたような懐かしさを感じる風景だった。

パッチワークのような眺め
続けて別の山にある展望台へ。もはや車では登れず、地元の若者たちのバイクに乗せてもらった。愛車を器用に操り、細くて急な道をぐんぐん登ってゆく。ベトナムの人は車もバイクも運転がうまい。展望台に立つと、稲が育っている緑の田と収穫を終えた茶色い田がパッチワークのように広がり、その間に小さな木々がぽこぽこと立っていて、何だかかわいらしかった。

山のお寺の守り神?
眺めのよい山の上には必ず大小の仏教寺院があって、ベトナムでも山と信仰は結びついているんだなと感じた。このお寺では、仏像をまつる祠のすぐ手前に茶色い犬と白い犬が寝そべっているのを見かけ、さながら仏様に仕える守り神のようだった。

山を下りたら、ふもとの食堂で腹ごしらえ
田んぼの風景を見た後は、お米料理が食べたくなった。地元の人でにぎわう食堂で、精米過程で砕けたお米を炊いて具をのせたベトナム南部名物「コムタム」をいただく。ここのコムタムはベジタリアン向けで、揚げ豆腐や油揚げのような具がのっていた。噛みしめれば油分とコクがあふれ、お肉に負けないおいしさ。しっかりエネルギー補給し、ポケットに忍ばせていたInto oilでリラックスしたら、また旅をつづけよう。
photography & text=TRANSIT

TRANSIT71号
何度でも、ベトナム
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