世界を旅し、美しい風景や歴史・文化を紹介するトラベルカルチャー誌TRANSIT。よりよい未来を拓くために、心身にも環境にもやさしいIntoの製品とともに各地を旅し、伝統的なものから新しい潮流まで、気になるライフスタイルを追いかけます。第7回は、独自の歴史文化と最先端のアートが溶け合うスペイン・バスク地方へ。

雨上がり、石畳の街並みへ
バスク地方最大の都市・ビルバオでの滞在も3日目。目が覚めると小雨が降っていた。昨夜は遅くまでサッカー観戦に出かけていたから、まだ少し眠い。顔を洗ってIntoのローションで肌をうるおすと、身も心もすっきり目覚めた。行きつけになったホテル近くのベーカリーカフェでカフェ・コン・レチェを飲んでいるうちに、青空がのぞく。今日は旧市街に行ってみようかな。カメラ片手に、しっとり輝く雨上がりの石畳を歩き始めた。

青い空、オレンジの瓦屋根
19世紀に建てられたサンティアゴ大聖堂を中心に、入り組んだ路地がめぐるビルバオ旧市街。赤と緑のバスク州旗や、昨夜試合を観た地元チーム「アトレティック・クルブ」の旗があちこちのバルコニーに掲げられ、地域愛を感じる。あてもなく坂道や階段を登っていった先、ふと視界が開け、街を見渡すことができた。すっかり晴れ渡った空にスペインらしいオレンジの瓦屋根が映えて、大聖堂の尖塔もよく見える。爽やかなそよ風に吹かれていたら、なんだかもうお腹が空いてきた。

小腹がすいたらピンチョスを
美食も有名なバスク地方、いつだって空腹を満たす場所には困らない。訪れたのは、旧市街と新市街を隔てるネルビオン川沿いの屋内マーケット。肉や魚、野菜が並ぶ建物の一角に、タパスやピンチョスを売る店が集まっている。バスク名物の塩ダラやきのこを使った3種をセレクト。なんだか地味な色合いになってしまったけれど、どれも素材の食感やうま味が生きていて絶品だ。食後の散歩をしつつ、街はずれのアルチャンダ山を目指そう。

ビルバオという都市を一望
旧市街を外れ、学校帰りの子どもたちでにぎわう住宅地を抜けて、ケーブルカーでアルチャンダ山の上へ。ネルビオン川の流れに沿って山あいに築かれたビルバオの街の全容が一望できた。旧市街は写真の左に見切れていて、中央から右側に広がるのが新市街の中心部。アトレティック・クルブのスタジアム「サン・マメス」や、このあと向かう予定のビルバオ・グッゲンハイム美術館もよく見える。

アートの薫りを感じながら
再びケーブルカーに乗って山を下り、川沿いの道を美術館に向かって歩く。もちろん市内バスや路面電車もあるのだが、コンパクトなので徒歩でも名所をぐるりと回れてしまうのがビルバオのよいところだ。街角には彫刻や壁画が点在していて、美術館までの道すがらアートの街の風を感じられる。高速道路の高架橋にほどこされたウォールアートが、とりわけ見事だった。

グッゲンハイム美術館の人気者、パピー
川を渡って、いよいよグッゲンハイム美術館に到着。閉館時間が迫っていたので展示は翌日ゆっくり見ることにして、建物をじっくり眺める。巨大な彫刻作品のようで、見飽きないのだ。正面入り口で来館者を出迎えてくれるのは、子犬の形に本物の花が植えられた立体作品「パピー」。草花が夕暮れの風にそよぎ、小鳥が遊ぶ。写真で何度も見たことがあったけれど、実際に近くに立つと自然の循環や空気の動きを全身で感じられる、癒しのアートだった。

新旧折衷を象徴するカルチャースペースへ
美術館からホテルへの帰り道にあった「アスクナ・セントロア」は、伝統と新しさが同居し、ビルバオを象徴するような施設だった。一見、四角い石造りの重厚な建物。一歩足を踏み入れると、タイルや彫刻でさまざまな装飾を施された柱が並ぶ、不思議な空間が広がっていた。20世紀初頭に建てられたワイン貯蔵庫を再利用したもので、地元アーティストのショップやギャラリー、図書館や映画館が入った複合カルチャースポットとなっている。海外の図書館を訪ねるのが好きなので、少し覗いてみることにした。

バスクの知が受け継がれる空間
本の形の看板が置かれた扉をくぐると、まずは絵本や児童書のコーナー。木の形の本棚など遊び心にあふれている。新聞コーナーではローカルのおじいちゃんたちがじっくり各紙を読んでいて、日本の図書館でもよく見かける光景で微笑ましい。バスク語の本や雑誌が並ぶ棚も印象深かった。自分たちの文化や知に誇りをもちながら、新しい風と融合させてゆく。この街の進化が、これからも楽しみだ。
photography & text=TRANSIT

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